オンボーディングは早期離職を解決するカギ!
実施時のポイントや事例も紹介

オンボーディングは、新入社員が早期に組織に馴染み、活躍できるよう支援する重要なプロセスです。
しかし、その具体的な目的やメリットについて、十分な理解が得られていないことがあるようです。
本記事では、オンボーディングの基本から、組織に与える効果、成功させるポイントを分かりやすく解説します。
新入社員の定着や組織力向上に役立つヒントがきっと見つかるはずです。

オンボーディングとは早期離職を解決する施策

解決する施策

オンボーディングは、新入社員が早期に組織に適応し、スムーズに活躍できるよう支援するプロセスや施策のことです。
その主な目的は、早期離職の防止と定着率の向上です。新しい環境で社風やルールに早く馴染み、新入社員が初期段階から能力を発揮できるよう手助けする役割を担っています。

さらに、オンボーディングは新入社員だけでなく、既存社員を支援対象に含む場合もあります。たとえば、新メンバーの受け入れを通じて既存社員とのコミュニケーション促進を支援することで、組織全体の連携を強化する効果も期待されます。

このように、オンボーディングは単なる新人教育ではなく、新旧のメンバーが互いに協力し、事業の成功を目指す土台を作りあげ、組織全体の成長を支える仕組みといえます。

オンボーディングを実施する目的【早期離職の解決だけではない】

目的

企業がオンボーディングを実施する目的は、社員の定着率を上げて早期離職問題を改善するためだけではありません。
ここでは、オンボーディングの具体的な目的について解説します。

早期離職を防いで定着率を上げる

オンボーディングには、新入社員に目標を与えてモチベーションを高めたり、面談やミーティングなどの場を設けたりすることで、理想と現実のギャップを調整する目的があります。

オンボーディングを実施することでギャップが埋まり、早期離職の原因である、仕事内容や人間関係のミスマッチを軽減し、定着率を上げることができるのです。

社員の早期戦力化を図る

新入社員が仕事の進め方や知識を早期に身につけ、即戦力として活躍するための施策として、オンボーディングを導入する企業が増えています。

オンボーディングには、初めてものごとに関わる人が習慣性を持つまでの期間を援助する、といった意味があります。ビジネスシーンにおけるオンボーディングは、新入社員が一日も早く仕事や環境になじみ力を発揮することを目的とした育成プログラムと言えるでしょう。

 
リモートワークの普及によるエンゲージメント低下を改善する

昨今のリモートワークの普及により、多くの人事担当者が、エンゲージメントや一体感の低下に危機感を抱いています。

理由としては、新入社員に社内を案内して各部署に挨拶をしたり、既存のスタッフと交流するランチ会などを設けたりする機会が減っているからです。
その結果、新入社員は会社の風土や仲間の雰囲気、職場の連帯感を実感できないまま、新しい人間関係をスタートしてしまいます。

社員の組織への帰属意識を高めて、信頼関係を構築するために、オンボーディングを実施する企業が増えているのです。

ボーディングを導入する4つのメリット【早期離職を防いで組織の生産性UP】

メリット

オンボーディングを導入することは、社員の早期離職を防ぐだけでなく、組織全体の生産性向上にもつながります。
ここでは、企業がオンボーディングを実施することで得られるメリットについて解説します。ぜひ参考にしてください。

早期離職を防いで採用コストを削減できる

オンボーディングを導入することで、人材を自社に定着させられれば、それだけ採用に関するコストが削減できます。

削減できたコストは、自社への再投資や従業員の待遇向上に活用できるため、より組織を活性化させられるでしょう。

社員の満足度・エンゲージメントを上げられる

オンボーディングを通じて活発なコミュニケーションを促進することで、新入社員と既存メンバーが直接的に業務内容や目標、組織のビジョンについて話し合う機会が増えます。その結果、新入社員は自身の組織内での役割や貢献できるポイントが明確になります。

また、新入社員に対して入社後の明確な道筋を示すことで、会社からの期待を実感しやすくなり、エンゲージメントの向上にもつながるでしょう。

社員の即戦力化につながる

オンボーディングで適切な育成プログラムを組めば、新入社員は効率的に仕事を習得して、早期に企業にとっての戦力となります。

また、オンボーディングを導入することで、先輩社員と早期に信頼関係を築ければ、気軽に質問しやすくなり、疑問を解決するスピードも早まるでしょう。

組織全体の生産性を向上させられる

オンボーディングは、新入社員の効果的な育成だけではなく、既存社員同士の連携強化にも効果を発揮します。

既存社員が新入社員と会社の調和を促す為にはたらきかけることは、既存社員同士の結束力アップにも役立ち、ひいては組織全体の生産性向上にも繋がるでしょう。

オンボーディングを実施する5ステップ

5ステップ

ここでは、オンボーディングを効果的に実施するための手順を解説します。
手順やポイントを参考に、自社でのオンボーディングの成功につなげましょう。

1.入社前から積極的にコミュニケーションを取る

オンボーディングは、入社前からはじまっています。

入社前に新入社員が企業に対して疑問・不安に感じる情報をオープンにしておくことで、信頼関係を築く土台を作ることが重要です。
例えば、ブランドブックを作成して渡したり、会社の歴史や企業理念・経営層が語るメッセージを動画にまとめたりすることなどが考えられます。

2.社内のフォロー体制を整える

続いて、ブラザー・シスター制度やメンター制度を導入し、社内でのマインドセットや業務の進め方を指導するとともに、メンタル面での不安や悩みに対するアドバイスが受けられる体制も整えましょう。

先輩社員との交流を通じて、自分が周囲に気にかけてもらえている、期待されていると感じられれば、エンゲージメント・モチベーションの向上につながるでしょう。

3.段階的にチーム・個人で目標を設定する

入社まもない新入社員が、目標を見失ってしまわないように段階的な目標を考えます。例えば、チームでは初月〇円の売上を、半年後には〇円にまで拡大、個人ではチームの目標を達成するために自分はどの分野で貢献するかなどです。

ここでは目標を細かく設定しながら最終的な目標達成を目指す教育手法である「スモールステップ法」を取り入れることをおすすめします。学生の教育現場や子育てに使われる手法で、オンボーディングにおいても有効的です。

4.具体的なプランを考案して導入する

3で段階的に目標を設定したあとは、達成に向けた具体的なプランを立てます。

オンボーディングプログラムは、新入社員個人の成長だけを目的とするものではなく、チーム全体の力を向上させる取り組みであるという意識を全社員で持ちましょう。

5.定期的なフィードバックを実施する

オンボーディングの期間が終了したあとは、定期的なフィードバックでサポートを続けます。

人事・採用担当者だけではなく、新入社員を受け入れた部署の関係者なども巻き込み、多角的にフィードバックを実施することで、オンボーディングの質を高めていきましょう。

オンボーディングで早期離職を改善するためのポイント

ポイント

ここでは、オンボーディングを成功させるためのポイントを解説します。
これらのポイントを意識することで、社員の早期離職を改善していきましょう。

全社員にオンボーディングの重要性を理解してもらう

新規採用者に手厚いプログラムを用意しても、迎え入れる側の準備が整っていなければ、オンボーディングは十分に機能しません。既存社員がオンボーディングの重要性を認識できておらず、協力しない場合、新入社員は逆に疎外感をおぼえる可能性もあるでしょう。

オンボーディングを導入する際は、必要性を全社員に理解してもらい、一人ひとりが自分の関わり方や役割を確認しておくことが大切です。

早期離職を含む組織の問題を明確化する

オンボーディングプログラムを作成する際は、まず組織の課題を明確にし、その課題を解決するための要素をプログラムに取り入れることが重要です。

例えば、社風が合わないという理由で離職者が出ているなら、社長が会社の歴史や事業内容を説明する機会を設けたり、社員同士の交流会に多くの時間を割いたりすることなどが効果的でしょう。

オンボーディングの実施事例

成功事例

ここでは、オンボーディングを実施し、社員の離職改善や育成に成功した企業の事例を紹介します。
自社で取り入れられる施策がないか、ぜひ参考にしてみてください。

GMOペパボ株式会社

GMOペパボ株式会社は、部署別にオンボーディングを実施しており、企業に対する帰属意識が育ちにくいといった課題がありました。
そこで、オンボーディングを全社共通の施策へ切り替えたのです。

その結果、部署の垣根を取り払うことにつながり、企業全体で新入社員を育てる社風が形成されました。

日本オラクル株式会社

日本オラクル株式会社では、社員のエンゲージメントを高めて、自主的に企業に貢献したいと考えるよう育成することが大事だと考えています。

そのため、中途採用で軽視されがちな経営理念や組織形態、ルールなどの基礎研修を入念に実施しています。また、OJTで上司側の負担を減らすために、ナビゲーター・サクセスマネージャーという専任のスタッフを配置している点も特徴です。

その結果、社員エンゲージメント率85%という高い成果をあげられました。

キユーピー株式会社

キユーピー株式会社では、工場で働いている社員にスキルを高める機会を平等に与える目的で、3年間のオンボーディング期間を設けています。また、現状の業務と並行して行えるよう、外部機関のeラーニングを活用しています。

その結果、従来不足していた基礎教育を効率良く行えました。

自分のペースでスキルを高められるeラーニングは、集団研修を実施しにくい企業に最適です。さらに、人材育成担当者が、受講者の成長や努力を定量的にチェックしやすい点もメリットでしょう。

早期離職の解決案であるオンボーディングに関するよくある質問

Q&A

ここでは、早期離職の解決策としてのオンボーディングに関する質問への回答を紹介します。
実施前に疑問を解消し、準備を整えましょう。

オンボーディングの言い換えには何がある?

オンボーディングには、言い換えられる言葉はありません。

「新人教育」「受け入れ」「イントロダクション」と意味が似ていますが、微妙にニュアンスが異なり、完全な同義語ではありません。

オンボーディングを実施する期間はどれぐらい?

新入社員研修は入社後1か月ほどの短期間で実施する企業が大半ですが、オンボーディングは基本的に、3か月ほどから、長ければ1年にわたって継続的に実施します。

まとめ

まとめ

オンボーディングは、新入社員の定着率向上だけでなく、既存社員間の交流を活発にし、組織全体の生産性向上にも寄与します。

早期離職の防止やチーム力の強化を実現するために、本記事で紹介した手順や成功のポイントを参考に、自社に合った施策をぜひ実践してみてください。

この記事の監修者

代表取締役社長

五十嵐 康雄

株式会社アイルキャリアは、お客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイドプログラムで”学び”を提供する研修会社です。官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた必要な”学び”を、新人から管理職まで幅広く提供し、組織の人材育成を支援しております。特徴としては、その研修で達成したい目標(行動変容)の先にある成果、パフォーマンス(行動変容の結果得らえるもの)までを意識してプログラムを作成することにあります。 

代表取締役社長

五十嵐 康雄

株式会社アイルキャリアはお客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイド研修で”学び”を提供する研修会社です。

官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで業界業種・官民問わず様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた上で、必要な”学び”を新人から管理職まで幅広く人材育成を支援しております。

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