仕事と家庭の両立は働く人々にとって悩みの種の一つです。上手にこなせる人はバランスを取り、どちらもスムーズに行えますが、これはとても難しいことだと言えるでしょう。共働きの場合、男性側・女性側それぞれにつらさ、言い分があります。本記事では、仕事と家庭の両立を実現するためのコツや、疲れたと感じたときの対処法を紹介します。
近年、働き方改革やワークライフバランスの推進の影響を受けて、法律や制度を通じて仕事と家庭の両立支援対策が講じられていますが、実際に家庭と仕事を両立できていると胸を張って言える人は多くはないでしょう。仕事と家庭の両立が上手な人には下記の2つの特徴があります。
仕事と家庭の両立が上手な人は、ものごとの優先順位を決めるスキルが非常に高いと言えます。
やるべきタスクを全て洗い出して、「やらなくてはならないこと・そうでないこと」、さらに「やりたいこと・やりたくないこと」の2つの軸を設定して物事の優先順位を決めましょう。場合によっては「やらない」「諦める」という思い切った判断をすることも必要です。このように何を優先してやるべきか、何をするべきでないかを上手に判断できると、キャパシティオーバーになることがありません。
また、それぞれのタスクに取り組む際にも上手に時間配分をすることが大切です。家事や子どもの送り迎えなどに必要な時間をある程度計算し、どのタイミングで行うべきか上手に組み立てられるようになるため、やるべきことを先延ばしにすることがなくなるでしょう。
仕事と家庭を上手に両立できている人は、あまり頑張りすぎずに適度に息抜きの時間をとっています。日常生活の中で散歩や運動の時間を取り入れてリフレッシュしたり、パートナーと協力して家事や育児を分担したりすることで、息抜きをするための時間を確保できるようになるでしょう。適度に息抜きの時間をとることで気分転換になるだけでなく、日々の生活に対する満足度や充実感、さらには家事や仕事の生産性のアップも期待できます。
女性の社会進出が進み、一昔前と比較すると家事や育児に積極的に参加する男性の割合は増えています。しかし、下記の理由が原因で仕事と家庭を両立させるのが難しいと悩む男性が非常に多いのが現状です。
仕事だけでなく家事や育児にも積極的に関わりたいと考える男性は多くなりましたが、下記のように周囲からの理解が得られないケースもあります
「子どもが小さくても奥さんがいれば大丈夫。」
「仕事を頑張ってお金を稼ぐ方が家族にとって大事。」
このような考えを持つ人が職場に多いと無言のうちに同調圧力が働き、なかなか早く帰宅するのが難しいでしょう。また、このような職場環境で仕事をしていると、自身のキャリア形成にも大きく影響を与えてしまう可能性も高いため、家庭と仕事の板挟みで悩む男性は多いものです。
昨年、厚生労働省が国内の3,300余りの事業所に実施した調査によると、男性の育児休暇取得率は年々上昇傾向にあるものの未だに17.13%と非常に低い状況です。同調査で男性に育児休暇を取得しない理由についても調査したところ、下記のような結果が得られました。
理由 | 回答者の割合 |
収入を減らしたくない | 39.9% |
取得しづらい雰囲気・周囲の理解がない | 22.5% |
自分にしかできない仕事・担当がある | 22.0% |
残業が多いなど業務が繁忙 | 21.9% |
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20230807a.html
出典:NHK「男性の育児取得率過去最高”期間や給料などで課題 とるだけ育休も懸念”」
このように、男性の育児休暇が制度としては存在していても、収入面や取りやすさなどに問題があり、育休取得のための環境が十分に整っているとは言えません。
前章では、男性が仕事と家庭を両立させることが難しい理由について解説しましたが、女性にとっても仕事と家庭の両立は簡単なことではありません。むしろ、男性以上に両立が難しいのが現状です。特に妊娠や出産といったライフイベントを機に退職する女性はいまだに多く、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施した「両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究」によると、全回答者の26.1%の女性が仕事を続けたかったものの、仕事と育児の両立の難しさが理由で退職しています。
女性にとって仕事と家庭との両立が難しい主な理由は2つあり、下記の通りです。
家事は下記のようにやるべきことが多岐に渡ります。
また、全ての女性が家事が得意であるとは限りません。家事が苦手な女性にとって、家事は精神的にも負担が大きいものです。さらに家事をしながら育児や介護もやらなくてはならないとなると、ケガや病気など突発的なこともよくあるため度々仕事を休む必要があります。このような理由から育児や家事の負担は大きく、仕事と両立させるのが難しいと考えて多くの女性が仕事を諦めているのです。
総務省が2017年に発表した「平成28年社会生活基本調査」によると、6歳未満の子どもがいる共働き夫婦において、妻の1週間の家事を行っている時間は平均で6時間5分であるのに対して、夫の場合はわずか1時間22分に過ぎないことが判明しました。この結果から、夫婦ともに働いている場合であっても、女性が主に家事を行う傾向があることがわかります。また、家事だけでなく育児や介護についても女性が担うことも多いのが実情です。
前章では、男性と女性それぞれが仕事と家庭を両立させるのが難しい理由について解説しました。では、共働き夫婦が仕事と家庭を両立させることは不可能なことなのでしょうか?結論、工夫次第では夫婦ともに仕事と家庭を両立させることは可能です。そのために、下記の2点について検討することがおすすめです。
上述の通り、共働き夫婦であっても多くの場合、女性の方が家事と育児の負担が大きいのが現状です。まずはこの状況を改善するために、夫婦間あるいは家族間で育児と家事の分担を決めましょう。「できる人がやる」という方法よりも担当制にした方が不満は生まれにくいでしょう。
家事が苦手、あるいは何をすれば良いかわからないという男性もいるでしょう。その場合は、家事と育児のやるべきタスクを細かく洗い出してから割り振りを決めることをおすすめします。そして、夫婦2人あるいは家族全員で協力して、家事や育児を効率的にこなせるように準備することが大切です。
全ての家事や育児を自分たちで抱え込む必要はありません。家事なら家事代行、育児であればベビーシッターなど他者のサポートを受けることで負担を軽減するのも一つの手です。これらのサービスを活用することで家事や育児に費やしていた時間を自分のために使うこともできるため、リフレッシュやストレス解消、自己啓発のための学びの時間を確保できるようになるでしょう。
なお、家事代行の費用相場は1時間で2,000〜4,600円、ベビーシッターの場合は1時間で1,500〜3,000円です。
仕事と家庭の両立は非常に大変であるため、嫌気が差したり、ストレスに感じたりすることもあるでしょう。仕事と家庭の両立に疲れたときには下記の2つを実践してみてください。
下記のような方法で、日々頑張っている自分を労ってあげましょう。
こどものため、誰かのためだけでなく、自分自身のことも大切にすることで気分が明るくなり、仕事と家庭を両立できるようにさらに活力が湧くでしょう。
あらゆる手を尽くして仕事と家事の両立を試みてみたものの、状況が改善されない、あるいは辛いと言う場合は、働く環境を見直すことも手段の1つです。近年、労働人口の減少や働き方改革推進の影響で、時短勤務やリモートワークなど多様な働き方が認められるようになりました。このような仕事と家事を両立させやすい職場を選べば、ストレスが軽減される可能性があります。働く環境を見直す際には、自分のキャリアや今後の人生についてよく考え、パートナーとも話し合い、慎重に決めるようにしてください。
この記事の中で再三述べてきましたが、仕事と家庭の両立は難しくて大変なことです。そのため完璧にやろうと意気込まないようにしてください。あまり無理をすると体調を崩したり、精神的に辛くなってしまったりするでしょう。できることを無理のない範囲で行うように気をつけてください。そして、あまりにも辛い場合は遠慮することなくパートナーや家族に話し、お互いに協力し合いながら乗り切るようにしましょう。
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