働き方改革により、残業削減に向けた取り組みは必須のものとなっています。また、残業は若手社員の採用や定着に影響を及ぼす可能性があり、健康を害するなど無視できないものとなっています。
今回は、売上や生産性を向上させながら残業を削減する方法や研修について解説します。
残業削減への取り組みは、世の中の潮流になりつつあります。「働き方改革」やテレワークの普及により、現在は官民一体で長時間労働の見直しが図られています。その影響で働いた時間ベースの評価軸は減少し、生み出した成果ベースの評価軸に移行しています。
残業は、常に悪という訳でありません。しかし、ムダな残業は人件費が増加すること以外にも、会社にさまざまなダメージを与えます。ここでは、代表的な弊害をご紹介します。
1日は24時間であり、増やすことも減らすこともできません。残業が増えることは、プライベートの時間が少なくなることを意味します。長時間労働によって生み出す成果は長続きせず、中長期的視点で考えると非効率なケースが多いでしょう。
プライベートな時間の確保は、精神的な充足という観点からも必須と言えます。趣味に没頭したり、家族とゆっくり過ごしたりと、心身をリフレッシュする時間を作ることで生活にメリハリが生じます。それにより、仕事へのモチベーションが上がり、成果の向上にも繋がる循環を生み出します。
残業によって長時間労働が常態化すると、従業員は疲弊し、健康を損ねてしまうおそれがあります。近年“健康経営”というワードが注目を集めているように、現代においては、従業員の健康管理も組織の安全配慮義務として位置づけられています。
従業員が心身ともに健康で“イキイキ働く”ことは、エンゲージメントの向上につながり、企業の業績アップにも寄与します。残業を減らしてプライベートを充実させ、オンとオフをしっかり切り替えることができれば、ストレスの溜め込みを抑えられ、結果として心身の健康維持につながります。
時代の流れとともに、求職者の希望も変化しており、「残業が少ない」「柔軟な働き方がしたい」といった条件を掲げる求職者も少なくありません。業界を問わず、人材不足が深刻な課題となっている今、人材獲得競争はいっそう激化しています。組織が優秀な人材を採用するには、求職者から“選ばれる”ための工夫が求められます。
このような現状を踏まえると、長時間労働や残業を前提とした会社は、労働市場においてさまざまな面で不利であると言えます。長時間労働を強いる“ブラック企業”と捉えられてしまうと、新規人材の採用や定着は困難を極めるでしょう。
昨今は、“人的資本経営の時代”と言われています。世界的にも、人的資本経営を推進する企業は、利益面以外でも高く評価される傾向があります。
従業員を大切にしていないとみられる組織は、その組織で働く人材のみならず、投資家などのステークホルダー、顧客、消費者のイメージダウンを招いてしまいます。結果として、業績や成果の減少につながる可能性も高いでしょう。
残業の発生原因としては、おもに以下のような要因が挙げられます。
高度成長期時代の日本では、残業が当たり前という風潮がありました。そのため、現代でも残業を美化するような社風を引きずっている組織があるかもしれません。そのような企業では、本来必要のない残業が常態化していることも珍しくないでしょう。
従業員個人が、ムダな残業を削減することや業務効率化の必要性に気づいていても、「周りが残業しているから自分もしている」「上司が残業しているので帰りにくい」といった同調圧力によって、改善されないケースもみられます。
業務の属人化とは、「ある業務の全てを特定の従業員に依存していて、手順や手法がブラックボックス化し、部署内や組織内でノウハウが共有されていない」状態を指します。仕事の内容や進捗状況も本人だけが把握しているため、部署内で助け合うことができません。
また、業務についてわからないことがあった場合、都度担当者に確認する必要があります。周囲の従業員も担当者本人も、問い合わせとその対応に時間を割くことになるため、本来やるべき業務が後回しになり、残業の発生につながります。
生活費を稼ぐために残業するというケースもあります。給与体系において、基本給が低めに設定されている場合、残業なしでは収入が少なくなってしまいます。従業員は低賃金を補うために、意識的・無意識的に残業せざるを得ない状態です。残業代の大半を生活費に宛てているという従業員もいるため、単に残業削減の取り組みだけでは根本的な問題解決に至らないこともあります。
残業の発生原因としては、おもに以下のような要因が挙げられます。
残業削減に向けた取り組みで重要なのは、「残業をする人の方が評価されやすい」という意識の改革と人事評価制度の見直しです。労働時間の長さではなく、どのような成果を上げたのか、どれくらい生産性を向上させたかなど、実績を重視した評価を行いましょう。
その第一歩として、まずは従業員の業務内容を確認することが必要です。労働時間を正しく把握し、ムダがないか、効率化できる箇所はないかなど、改善点を洗い出します。
成果重視の賃金体系を目指すのであれば、業績貢献度によるインセンティブ(成果報酬)制度を導入してもよいかもしれません。ただし、間接部門の従業員の業績貢献度を測ることは困難な部分もあります。そのため、残業代目的の残業削減を目指してインセンティブを導入する場合は、緻密な制度設計と従業員への丁寧な説明が求められます。
業務の属人化解消に有効な手段の一つとして、業務のマニュアル化、標準化があります。マニュアルとは、業務の手順や内容・コツに加え、過去の事例やトラブル対応の方法などをまとめたものです。
マニュアル化を進めるプロセスの中で、業務の可視化が図られ、ムダな業務の削減に役立つという副次的メリットもあります。さらなる効率化を目指すには、ITツールを導入して自動化・デジタル化することも有効です。
マニュアルを作成する際は、「シンプルでわかりやすい表現」「図表や画像、動画を用いる」ことを心がけ、作成後は「誰でも閲覧できる状態にしておく」ことがポイントです。
タイムマネジメント研修では、「残業の削減」に直結する仕事・時間の管理の方法やフレームワークはもちろん、やる気(モチベーション)の管理についても一部学びます。さまざまな観点から効率的な仕事の進め方を学び、限られた時間内で最大限の成果を生み出すことを目指します。
タイムマネジメント研修の最大の目的は、働く人たち一人ひとりが、「より良く働き、より良く生きる」ことの実現にあります。組織には、スタッフ、プレイングマネージャー、管理職という3つの層がありますが、各々の立場や役割に合わせた「適切な」タイムマネジメント手法が存在します。
タイムマネジメント研修で特に重要なのは、効率化を図るべきものと、図ってはいけないものを理解することです。行き過ぎた効率化は、かえって「残業の削減」や「仕事の生産性」を悪化させることになるものです。
スタッフや新人向けタイムマネジメント研修の目的は、決められた時間内で成果を出せるようになることです。1日24時間という与えられた時間の中で、いかに効率よく仕事を進めるかがポイントです。
研修では、個人でできる手法・工夫を中心に、周囲も巻き込んで取り組むノウハウについても一部学びますので、チームの段取りを効率化することにも繋がるでしょう。
また、ITに強いデジタルネイティブ世代として、DX視点での効率化を学び、提案する姿勢も求められます。上司に萎縮することなく、DX推進の必要性を伝えることができれば、上司や先輩社員の「残業削減」にも貢献するでしょう。
個人のタイムマネジメントはもちろん大切ですが、その取り組みを部署全体、チーム全体に波及させるためには、プレイングマネージャー・管理職が主体的に行動していく必要があります。
プレイングマネージャーの主な役割は、スタッフ・新人の「働き方」を整えることです。研修では、部下一人ひとりが「決められた時間内で成果を出せる」「特定の部下に業務が偏り過ぎないようにする」ための業務割り振りや指示の習得を目指します。これらを実行できれば、部署全体のムダな残業削減に役立つでしょう。
具体的には、既存の業務フローを整理して不要な工程をカットする、暗黙知を形式知としてまとめ、組織知として共有する仕組み作りなどの手法を身につけます。併せて、業務のあり方そのものを見直すための視点や、DX活用の必要性などについても学びます。
タイムマネジメント研修を行っている業者は多く存在しますが、その中でもアイル・キャリアが実施するタイムマネジメント研修は、他社と比較して多くのメリットや特徴があります。
今回ご紹介するプログラムは一例であり、研修内容を自由にオーダーしていただくことも可能です。お客様のお話を伺った上で「残業の減らし方」に特化したプログラムの作成も可能です。
~アイスブレイク&自己紹介~ | |
1.タイムマネジメント上手になるために
| 講義 |
《実習1》個人ワーク/ペアワーク
| 実習 |
2.段取りとタイムマネジメントの基本
| 講義 |
《実習2》個人ワーク/ペアワーク
| 実習 |
《実習3》グループワーク(事前課題)
| 実習 |
3.さまざまな段取り術
| 講義 |
《実習4》振り返り/グループ内共有
| 実習 |
※まとめ、質疑応答、アンケート記入/研修終了 |
オンライン研修では、事前課題としてeラーニング視聴などを設定しています。事前課題からの学びのシェアやグループワーク、できる先輩との対談といったプログラムを設け、集合研修以上に集中力が持続するような構成となっています。
~アイスブレイク&自己紹介~ |
1.事前課題(動画視聴)の振り返り ● 事前課題の振り返りをグループ・全体で共有 |
《実習1》グループワーク ● テーマ「駅弁を作ろう!」 ● 指定された駅の中から1つ駅を選択し、駅弁を企画 ● 企画した駅弁を相互にプレゼン ● プロセスの振り返り・印象交換 ● グループ・全体で共有 |
2.事前課題(時間の使い方の見える化)の振り返り ● 事前課題の振り返りをグループ・全体で共有 |
《実習2》グループワーク ● テーマ「それ先輩に聞いてみよう。」 ● 各グループの先輩社員1人ずつが発表 ● 仕事の段取り、コミュニケーションなどのポイントをシェア ● パネルディスカッション・質疑応答 |
3.研修全体の振り返り ● 職場実践・行動計画をグループ・全体でシェア ● 質疑応答 |
4.終了 |
1)仕事の優先順位を重要度で決めることや、イレギュラーに備えてスケジュールを立てることなど、業務に活かせることが多い講義だった。講師の先生も明るく分かりやすかった。
2)グループワークで他の課の仕事を聞け、そこで気を付けていることの話を聞けたことは、自分の仕事以外の角度の視点もあって参考になった。また「時間短縮だけがタイムマネジメントではない」という冒頭の言葉が、自分の思っていたタイムマネジメントと異なっていたので印象に残っている。
3)自分がなぜ仕事が遅いのかがよく分かった。今後は段取りを決めて仕事を進めていきたいと思った。
1)仕事を効率的に進めるためのテクニックをたくさん学ぶことができた。業務改善をどうしたら良いか分からなかったが、少しの工夫で色々変えることができると気づくことができた。
2)スキマ時間を見つけて、効率よく仕事をしていきたいと感じた。効率よく行うことは、プライベートな時間が増えるという事を意識して、スケジュール、書類、データ整理に取り組んでいきたい。
3)段取りについては今まで取り組んできたやり方でよいと気づけた。あとは個人の時間意識、優先順位の捉え方,コスト意識の持ち方が大切だと感じた。
アイル・キャリアの研修は、講師がお客様の元に伺い研修を行う派遣形式を採用しています。そのため、研修会場はお客様にてご手配いただいております。
自社の会議室や、外部の貸し会議室・レンタルスペース等、お客様のご都合の良い場所にて開催可能です。
自社で開催する場合は、移動の手間や交通費のカットもできるため、お客様の負担軽減にもつながります。
「時間は有限」「時間の使い方は、人生の質を変える、キャリアを変える」
タイムマネジメントの本質は、「何のためにタイムマネジメントするのか?」をハッキリさせることです。「行き過ぎた効率化がもたらす弊害にも目を向ける重要性」にも触れつつ、タイムマネジメントの考え方、方法論、コツを紹介しています。
リモートで会社を経営しつつ、国内外を問わず年間200日以上のセミナー登壇を続ける。多忙な日常の中、「仕事と家庭、プライベートのバランスをどう取っていくのか」といった課題に対して、タイムマネジメントの重要性を実感するようになり探求、今日に至る。趣味は水泳、ランニング、ストレッチ、ヨガ、筋トレ、サーフィンなど。
【講師略歴】
2006年 株式会社アイル・キャリアを創業
2013年 海外(ベトナム)でセミナー講師デビュー
2019年 出版『稼げる講師、稼げない講師どこが違うか』(あさ出版)
2020年 東洋経済オンライン記事が週間アクセス数ランキング第一位を獲得
2021 年 世界最大の会員制人材開発組織 ATDジャパンサミットにて、DX スタディグループのメンバーとして登壇
2022 年 世界最大の会員制人材開発組織 ATD ジャパンサミットにて、DX スタディグループのメンバーとして登壇
残業問題の解決には、「労働時間」ではなく「成果・実績」を重視した評価制度の構築が求められると同時に、仕事のムリ・ムダ・ムラを省いて業務効率化を図ることが重要です。「タイムマネジメント研修」によって、仕事・時間をコントロールする方法を学ぶことで、残業の削減や生産性向上が見込めるでしょう。
アイル・キャリアは、人材育成、研修をワンストップソリューションで提供し、受講者の学習効果、研修成果にコミットしています。お客様との初回お打ち合わせ時から、講師が課題やご要望を伺い、コンテンツ開発、教材作成、登壇まで一気通貫で担当いたします。残業削減への取り組みの第一歩として、タイムマネジメント研修の実施を検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社アイルキャリアは、お客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイドプログラムで”学び”を提供する研修会社です。官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた必要な”学び”を、新人から管理職まで幅広く提供し、組織の人材育成を支援しております。特徴としては、その研修で達成したい目標(行動変容)の先にある成果、パフォーマンス(行動変容の結果得らえるもの)までを意識してプログラムを作成することにあります。