こうした状況に直面したとき、私たちはつい、原因を「個人」に求めてしまいがちです。
「やはり、うちの職員(社員)は受講の意識が低いのだろうか」
「結局、本人のやる気やモチベーション次第なのだろうか」
「あの講師の教え方が、現場のリアリティに合っていなかったのではないか」
しかし、本当に個人の「やる気」や「意識」、あるいは「講師の質」だけが原因なのでしょうか。
株式会社アイル・キャリアは、そうした個人責任論や精神論、根性論を一度脇に置き、「構造」に目を向けるべきだと考えています。研修が現場で活かされないのは、受講者の意識が低いからではありません。「学びの場」と「働く場」が接続されていないという「設計(構造)」の問題なのです。
本記事では、この「研修が現場で活かされない構造」を解き明かし、AI時代において求められる新しい人材育成のあり方と、具体的な解決の設計図を提示します。
なぜ、受講者が「良い研修だった」「明日から実践しよう」と心から思っていたにもかかわらず、現場に戻ると元に戻ってしまうのか。そのメカニズムを、構造的な視点から紐解いていきましょう。
最大の原因は、「学ぶ場(研修)」と「働く場(現場)」が完全に分断されていることにあります。
① 「非日常」と「日常」の圧倒的な温度差
研修室という空間は、日常の業務から隔離された「非日常」の場です。そこでは電話が鳴ることもなく、目の前のメール処理に追われることもありません。講師から体系的な理論を学び、ワークを通じて「理想の姿」を描くことができます。この環境では、自然とモチベーションが高まるのは当然です。
しかし、一歩現場に戻れば、そこは容赦のない「日常」です。
山積みのタスク、日々発生するトラブル、タイトな締め切り。そこには、研修で学んだ「時間のかかる新しいやり方」を悠長に試す余裕などありません。人間は、負荷がかかると無意識に「最も慣れ親しんだ過去のやり方」を選択します。どれだけ強い意志を持って研修を終えても、現場の持つ強烈な「現状維持バイアス(引力)」に引っ張られ、一瞬で元に戻ってしまうのです。
② 現場上司の「不関与」という高い壁
多くの場合、研修を企画・実施するのは人事や事務局であり、受講者の「現場の上司」は研修の具体的な内容や、そこで部下がどんな目標を設定したのかを知りません。
こうした会話に象徴されるように、上司にとって研修は「部下が一時的に業務を離脱するイベント」に過ぎないケースが多々あります。
部下がせっかく「新しいやり方を試してみよう」と現場で一歩を踏み出しても、上司から「そんなやり方ではなく、今まで通りの手順で早く処理してくれ」と言われれば、その挑戦は二度と行われません。周囲の理解や関与がない環境で、個人が一人で行動を変え続けることは、構造的に不可能なのです。
③ 単発イベントとしての限界
1日の研修で得られるものは「きっかけ」に過ぎません。しかし、多くの育成計画は、研修当日を「ゴール」として設計されています。
知識をインプットし、当日のアンケートを回収して満足度を測定する。そこで「接続」が途切れているため、研修後の実践プロセスは受講者個人の「意志の強さ」に丸投げされることになります。
これまでの研修における分断構造は、これからの「AI時代」において、より深刻な機会損失をもたらすことになります。なぜなら、研修そのものの存在意義が大きく変化しているからです。
かつての研修は、「知らない知識を教えてもらう場(知識提供型)」としての価値が大きくありました。最新のフレームワーク、ビジネススキル、法改正の知識などを講師からインプットすること自体に、一定の意義があったのです。
しかし、生成AIが普及した現在、あらゆる知識や正解、一般的なフレームワークは、AIに問いかければ数秒で、しかも個別具体的にカスタマイズされた回答が返ってきます。「知識を得るだけ」であれば、わざわざ集合研修を開催する必要性は極めて低くなっているのです。
AI時代における人材育成で真に価値を持つのは、以下の3点です。
では、個人責任論に頼らず、受講者がごく自然に現場で学びを実践し、行動を変えていくためには、どのような設計が必要なのでしょうか。
アイル・キャリアでは、研修を「点」ではなく、現場への定着までを一本の「線(プロセス)」として捉える、3つのアプローチを推奨しています。
上司の役割は、指導することではありません。「あなたの新しい挑戦を見ている、応援している」という関与の姿勢を示すこと自体が、受講者にとって最大の行動促進環境になります。
人材育成や研修の成果が出ないとき、つい私たちは、
「あの社員は主体性が足りない」
「もっと意識を高く持ってもらわないと困る」
と、個人の資質やマインドに原因を求めてしまいます。
しかし、それは大きな誤解です。
人間は、決して強い生き物ではありません。
どれほど強い覚悟を持って研修を受けても、明日になれば日常の忙しさに埋もれ、過去の慣習に流されてしまう。それが普通の人間の姿であり、むしろ自然な反応なのです。
だからこそ、私たちはこう考えます。
「人は強くない。だから仕組みがいる。」
気合いや根性に頼った育成は、必ず破綻します。そうではなく、意思が弱く、忙しさに流されそうになる「普通の受講者」であっても、構造的に、環境に後押しされ、他者との関係性の中で、自然と行動が変わっていく。そのような温かく、かつ緻密な「接続設計」こそが、今、組織に求められています。
研修が活かされない原因は、決して“人”にありません。すべては“接続設計”にあります。
一歩を踏み出す受講者の伴走者として、そして、変わりゆく組織の並走者として、やりっぱなしで終わらない真の育成設計を、私たちと共に創り上げていきましょう。
あなたの組織の、その確実な変化の始まりをサポートします。
「組織に、変化を、仕組みから…。」
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株式会社アイルキャリアは、お客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイドプログラムで”学び”を提供する研修会社です。官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた必要な”学び”を、新人から管理職まで幅広く提供し、組織の人材育成を支援しております。特徴としては、その研修で達成したい目標(行動変容)の先にある成果、パフォーマンス(行動変容の結果得らえるもの)までを意識してプログラムを作成することにあります。