日本は、生産年齢人口の減少や人手不足の影響により、官民問わず、多くの組織で効率的に仕事を進める能力が今まで以上に求められつつあります。本記事では、効率的に仕事を進めるために必要なタスク管理を上達させる方法をはじめ、個人だけではなくグループでのタスク管理方法もご紹介します。タスク管理に便利なツールもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「優秀な人材」と聞いて、どのような人物を思い浮かべますか?優秀な人材にはさまざまな特徴がありますが、「約束した納期を守れる人」であることが特徴の1つとして挙げられます。限られた時間で多くのタスクに対応する必要がある現在のビジネス環境において、タスク管理スキルは必要不可欠です。意外に思われるかも知れませんが、タスク管理の優劣は「才能」による部分もあります。ただ、苦手な人でも必要なテクニックを身につけたり、ツールを使いこなしたりすることで大きく改善することが可能です。
タスク管理を上達させるための方法やテクニックは主に5つあります。
複数のタスクを抱えている場合、そもそも不要なタスクはないかどうかを検討した後、必要なタスクの中でも優先順位をつけることが大切です。下記の手順でタスクに優先順位をつけましょう。
その後、
①「緊急度」が高い、かつ「重要度」が高いタスク
②「緊急度」が高い、かつ「重要度」が低いタスク
③「緊急度」が低い、かつ「重要度」が高いタスク
④「緊急度」が低い、かつ「重要度」が低いタスク
の順番で優先順位を決定します。
その後、実際にスケジュールに落とし込みます。この際には、月間→週間→日間と大きな時間の枠組みから小さな時間の枠組みに向かってタスクのスケジュールを立てることがポイントです。
タスクの優先順位を決定した後は、タスクの内容をしっかりと具体化して管理しましょう。タスク管理表を作成する際には、下記の5項目を入れることをおすすめします。
なお、タスクの優先順位には前項で決定した①〜④のいずれかを記載しますが、タスクを進めているうちに変更がある可能性があります。そのため、記載を変更できるような表を作成すると良いでしょう。
業務は「タスク」と「ToDo」の2つに分けられます。タスクとは、「納期の決まっている業務」のことをいいます。それに対して、「ToDo」は仕事のアイディアをまとめたり、社内で使用する新しい機材の提案をしたりと「期限は決まっていないものの、いつかやる必要がある業務」を指します。
行き当たりばったりで業務を進めると期日が定められている「タスク」ばかりを優先してしまい、「ToDo」がいつまで経っても終わらない、あるいは全く手をつけられそうにないといった状況に陥ってしまうでしょう。そのため、業務を「タスク」と「ToDo」に分類し、それぞれが両立できるようなスケジュールを組むことが大切です。
タスク管理をする上では、タスクを完了させるために必要な工数を甘く見ないようにすることが重要です。特に、複数のタスクを同時進行で進める際にはタスクの内容を可視化し、振り分けるリソースを計算しましょう。計算した上で期日までに全てのタスクを完了できそうにない場合は、タスクを取捨選択して「やらない」と判断することも大切です。
原則、タスクは同時並行で進めるのではなく、個別に取り組み、完了させることを心がけてください。1人の人間が複数の業務を片手間で行うと、かえって混乱してタスクの完了まで時間がかかったり、品質や生産性が落ちたりする可能性が高くなるからです。アメリカの心理学会が発表した研究結果「Multitasking:SwitchingCosts」によると、マルチタスクによって作業効率が最大で40%も落ちると言われています。このような理由から、マルチタスクは可能な限り避けるべきです。
グループのメンバーそれぞれがマルチタスクをする必要があったとしても、キリが良いところまでは作業を完了させるようにしたり、各自最大2つまでのタスクに絞ってマルチタスクを進めたりするようにしてください。
グループでのタスク管理を上達させる方法は、下記の通りです。
社内の同じチームのメンバーや協働相手に自分のタスクを「見える化」しておくことは、円滑にタスク管理を進めていく上で重要です。チームのメンバーが互いのタスクを知っておくと、自分の予定を逐一共有する必要がなくなるため、時間のすり合わせも容易になります。
また、担当者が急遽欠席になった際に、何をすべきか本人に確認を取らずに業務を進めることも可能です。つまり、業務の属人化を防ぐ効果もあります。
タスク管理表をチームやグループのメンバーと共有する際、どこまで共有したら良いのか頭を悩ませることもあるかと思います。結論は1つではありませんが、タスク管理表を共有する目的に対して必要なことを共有するという視点で、実際にやりながら調整するのがベターです。たとえば、案件名や対応に必要な所要時間の目安など、連携や意思疎通に欠かせないことから始めるのも1つの案です。その際、WBS(WordBreakdownStructure)やガントチャートなどを活用するのも良いでしょう。
タスク管理スキルはツールを活用することで、一定のレベルまでは、すぐに向上させることができます。タスク管理ツールは、スマートフォンアプリ形式のものから、パソコンのブラウザで確認できるものまでさまざまあります。ただし、闇雲に利用するのではなく、自社のニーズや目的に適したツールの導入を検討することが大切です。ここでは、おすすめタスク管理ツール、アプリを紹介します。
カレンダーアプリは自分のスケジュールを個人で管理するだけでなく、グループで共有できる機能を持ったものが多いです。個人でタスク管理をするには、手帳やメモなどアナログな方法を使ってスケジュール管理することも良いのですが、関係者とタスクを共有する際には、ネット上で共有できるツールの方がどうしても効率的です。
グループウェアを職場で活用している場合は、それで事足りるかも知れませんが、もし、そういったものがない場合は、無料のカレンダーアプリもたくさんありますので、いくつか試してみて、使い勝手が良さそうなものを選んで活用するのが良いでしょう。スケジュール管理もデジタル化を図ることで、チームや関係者とのコミュニケーションコストを下げることは価値があります。
近年、ChatworkやSlackを筆頭にチャットに特化したアプリを使用している企業が増えています。個人向けチャットと比較すると、セキュリティ面も強化されていることから安心して使用できます。
このようなアプリは、タスクを周知するための機能を備えているため非常に便利です。前述のカレンダーアプリと併用して使うことで相乗効果も期待できるでしょう。また、タスク管理をチャットツールに集約すれば、同時にいくつもアプリを開く必要がなくなり、パソコンへの負荷軽減もできます。
この記事では個人レベルとグループレベルでタスク管理を上達させるための方法と、タスク管理に役立つツールについて紹介しました。タスク管理が上手であること、スケジュールを守れることは必ずしも「才能」だけによるものではありません。ちょっとした工夫やツールの活用によって、タスク管理のスキルもレベルアップし、劇的に時間の使い方が変わります。この記事を参考にしながら、タスク管理のレベルアップに向けて、いまから自分にできることを試してみましょう。
株式会社アイルキャリアは、お客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイドプログラムで”学び”を提供する研修会社です。官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた必要な”学び”を、新人から管理職まで幅広く提供し、組織の人材育成を支援しております。特徴としては、その研修で達成したい目標(行動変容)の先にある成果、パフォーマンス(行動変容の結果得らえるもの)までを意識してプログラムを作成することにあります。