「プレイングマネジャーは、多忙で辛い」
「睡眠時間を削ってまで仕事をしているのに、上手く業務が回らない」
このようにプレイングマネジャーの悩みは尽きません。マネジメント業務を行いつつ、プレイヤー業務を行うためには、時間管理の考え方や管理方法をしっかりと身につけることが必要です。この記事では、プレイングマネジャーが日々抱える悩みを解決するための時間管理術を紹介します。
プレイングマネジャーにはさまざまな役割がありますが、主に下記の3つの役割を担っています。
プレイングマネジャーは「管理職」と「プレーヤー」の両方の役割を担うポジションです。そのため、これらの3つの役割を同時に果たすと同時に、成果を上げることが求められます。
プレイングマネジャーは「多忙」というイメージをもつ人は多いでしょう。実際、プレイングマネジャーは、管理職として組織運営や部下とのコミュニケーション、業務フォローを行う傍らで、自身もプレーヤーとしての役割も求められています。このような中、上手く時間管理や工数の配分ができずに、プレーヤー業務もマネジメント業務もそれぞれ中途半端になってしまう方も少なくありません。
「両立させるためには時間が足りない」と多くのプレイングマネジャーが悩みます。これが、プレイングマネジャーが直面する時間管理の壁と言えるでしょう。
多くの悩みを抱えるプレイングマネジャーですが、時間管理を適切に行うことができれば多くの悩みは解決されるでしょう。プレイングマネジャーにおすすめの時間管理方法は下記の2つです。
時間管理を行う際には、有名なコヴィー博士の『7つの習慣』で紹介されている「重要度と緊急度のマトリクス」が大いに役立ちます。
出典:PHP人材開発「プレイングマネジャーの時間管理術」
上記の図では業務上のタスクを4つの象限に分類しています。
第1象限:危機への対応・差し迫った仕事・期限のある仕事
第2象限:人間関係づくり・新しい機会を見つけること・準備や計画・心身のリラックス
第3象限:飛び込みの用事・電話・メール・報告書・会議・イベント・あまり意味のない接待や付き合い
第4象限:取るに足らない用事・雑用・メール・暇つぶし
抱えているタスクを全てこのマトリクスに当てはめてみましょう。タスクの優先順位や、自分がやるべきこととそうでないことが可視化され、適切な時間配分をするのに役立ちます。
第1象限と第3象限に記載した業務を優先する
上記の「重要度と緊急度のマトリクス」において最も重要度が高いのが第1象限と第3象限に分類されたタスクです。
第1象限は「緊急かつ重要なこと」に分類されるタスクで、基本的には必ずやり遂げなくてはいけないタスクに該当します。第1象限にあるタスクを先延ばしにしてしまうと、ストレスが溜まったり火消しに奔走したりすることになります。早めに取り掛かり、少しでもタスクを減らすことがおすすめです。
第3象限とは、「緊急ではあるものの重要ではないこと」に分類されるタスクのことです。言い換えると、結果にあまり大きな影響を及ぼさないものの、時間や労力が必要なタスクとなります。多くの人が、本来はこの象限に含まれるべきタスクを第1象限に入れてしまい、時間と労力を注ぎ込んでしまいがちなので、見極めには十分に注意してください。この分類のタスクは部下に任せるなどすることも大切です。
上記のように、第1象限と第3象限に分類されているタスクに優先的に取り組みつつ、第2象限のタスクに少しでも余裕をもって取り組めば、第1象限のタスクを増やすことなく、仕事を効率的にこなすことができるようになるでしょう。
第2象限の業務は確実に進められる時間を定期的に確保する
第2象限に分類されたタスクは「重要だけど緊急ではないこと」です。多くの人がこれに分類されるタスクを、やらなければならないと理解しつつも、ついつい後回しにしてしまっています。この象限にあるタスクは、すぐには成果を感じないものの、長期的な視点で見ると重要であり、自身の成長につながることからも、できる限り毎日時間を確保して少しずつ進めていくことが大切です。
業務で使用するスケジュール表だけではなく、自分だけの作業計画を作成することが、時間管理を適切に行うために効果的です。自分だけの作業計画を立てる際には下記の2点を行いましょう。
1. 自分が使える毎月の作業時間を計算する
まずは毎月の月間作業時間を大まかに計算します。計算方法は下記の通りです。
1日の稼働時間×月間の稼働日+残業時間=毎月の作業時間
例)1日8時間、月20日間稼働、残業時間40時間の人の場合
8×20+40=200
→毎月の作業時間は200時間となる。
この計算式によって自分の作業時間を算出するポイントは、自分で使える時間が可視化されることです。
2. 管理職の定例業務時間を計算する
次に、下記のように1ヶ月の中で行われる定例会議や定期的な作業などの固定業務と頻度、それらに割く時間を洗い出します。
作業・タスク | 頻度 | 合計時間 |
---|---|---|
1on1 | 5名×30分 | 150分 |
チームミーティング | 週1時間×月4回 | 4時間 |
部下からの個別相談 | 週1時間×月4回 | 4時間 |
勤怠管理業務 | 週1時間×月4回 | 4時間 |
部内ミーティング | 週2時間×月1回 | 2時間 |
部内の委員活動 | 週2時間×月2回 | 4時間 |
合計 | 20時間30分 |
出典:PHP人材開発「プレイングマネジャーの時間管理術」
上記の図では業務上のタスクを4つの象限に分類しています。
第1象限:危機への対応・差し迫った仕事・期限のある仕事
第2象限:人間関係づくり・新しい機会を見つけること・準備や計画・心身のリラックス
第3象限:飛び込みの用事・電話・メール・報告書・会議・イベント・あまり意味のない接待や付き合い
第4象限:取るに足らない用事・雑用・メール・暇つぶし
抱えているタスクを全てこのマトリクスに当てはめてみましょう。タスクの優先順位や、自分がやるべきこととそうでないことが可視化され、適切な時間配分をするのに役立ちます。
このような表を作成することで、月々の定例業務にかかっている時間の合計が把握できるようになるでしょう。
プレーヤー業務で使える時間を計算する
次に、毎月の作業時間から定例業務時間を引きましょう。その差し引かれた時間が、計算上プレーヤー業務に充てることができる時間です。上記の場合は、200時間から20時間30分を引いて、179時間30分がプレーヤー業務を行える時間となります。
その時間でプレーヤーとしてやるべき業務を行えるか計算して計画を立てましょう。もし、時間が不足する場合は、前項の管理職の定例業務時間を減らしたり、作業の一部を部下に任せたりと代替策がないか考えてみてください。
スケジュールに自分専用の時間枠を確保しておく
上記のように作業計画を立てても突発的なことが起こって計画通りにいかないこともあるでしょう。それを極力回避するために、スケジュールにバッファやイレギュラー対応の時間枠を確保するのが有効な手段です。これによって重要で緊急度の高い仕事を、的確かつ着実に進めることができるようになるでしょう。自身の時間管理のレベルが上がり、チームや組織全体の効率性も向上することが期待できます。
最後にプレイングマネジャーの時間管理に関するよくある質問とその回答について紹介します。
プレイングマネジャーとして、「マネジャー」と「プレーヤー」の2つの役割を両立させるためには徹底した時間管理が必要不可欠です。自分でルールを決めて、それぞれの業務に充てる時間を切り分ける作業をするようにしましょう。
一般的には、午前7時から10時の時間帯が最も作業効率が良いです。朝の時間帯は夜の時間帯と比較すると頭が冴えていることが多く、朝の時間は夜の時間の6倍生産性が高いとも言われています。
下記の実情が理由となっていると考えられます。
権限移譲を行うことがおすすめです。権限移譲とは下記の6点で放任とは異なります。
忙しい(=優秀で仕事が多い)人がプレイングマネジャーになる傾向があるため、往々にしてこのような悩みはありがちです。「自分を含めたチーム全体の成果を最大化するにはどうするべきか」という視点を判断軸にすることをおすすめします。
プレイングマネジャー業務は一筋縄ではいかない難しさがあります。ただ、時間管理のレベルが上がると、自分だけでなく、全体の業務効率や労働生産性を高められます。また、部下とのコミュニケーションを密に行うことも、将来の権限移譲の面で大切です。今回解説した時間管理方法を参考にして、改善のきっかけを掴んでください。
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