仕事をしている時間はもちろんのこと、プライベートもより有意義に過ごすためには「キャリア戦略」が鍵となります。戦略と聞くと少し堅苦しく感じてしまうかもしれませんが、分かりやすくお伝えすれば、自分の特性や好きなこと、やりたいことを洗い出し、実行に移すためのプロセスだと考えていただければ良いかと思います。
この記事では、キャリア戦略の重要性や成功のコツを解説しています。無料で使えるワークシートもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
キャリア戦略の定義は、個人が生涯目指す方向や目標を明確にし、それらを達成するために戦略的な計画を立てるプロセスとなります。新卒で希望していた会社に入社し、そのまま幸せなキャリアを築くことができるのがこれまでの理想だったかもしれませんが、残念ながらそのような人ばかりではありません。なぜなら、長年働いているうちにキャリアゴールが変わったり、そもそも新卒の時点で自分が希望していた会社に入社できなかったりすることも多々あるからです。
「キャリア」と聞くと、「仕事」や「経歴」をイメージする人が多いかもしれませんが、時代とともに「キャリア」という言葉がもつ意味も包括的になってきており、いまは「人生そのもの」を指すようになってきました。「自分にとっての幸せ」や「自分の理想の生き方」などについて考えながら「自分らしさ」を追求することが大切な時代になってきました。
これまでの日本で当たり前だった終身雇用や年功序列といった制度が崩壊し、キャリアの主導権が組織から個人へと移行してきたいま、働く人、ひとり一人が自分はどのようなキャリアを築いていきたいのかを考え、それを実現するために実際に行動することが求められています。キャリア戦略の重要性としては、おもに、以下2つがあります。
キャリア戦略を立てるプロセスの中では、自身の価値観を確認し、どのような将来を望むのかを把握することができるようになります。逆に言うと、なりたい自分を実現するためには戦略を立てることが有効だということです。キャリアのゴールや自己実現を果たすための方法論に、唯一絶対の正解はありません。自分の価値観に合った方法を見つけ、実行に移していくことで実現へと近づいていけるのです。
自分の目標とするキャリアを実現するためには、多くの時間を必要とすることが多いものです。キャリア戦略とは、自分が目標とするキャリアを実現するために立てる「中長期的な」方向性のことです。早い段階からキャリア戦略をもち、時代の変化に合わせて柔軟に軌道修正することで、実現可能性も高まります。
何歳になったら考えるという目安は、いまの時代にそぐわなくなってきているので、人生の節目や転機、あるいは、自分が必要性を感じたタイミングで立てると良いでしょう。
次に、キャリア戦略の設計方法を3つのステップに分けてお伝えします。
まずは、理想とするキャリアの目標をおぼろげながらでも良いので決めましょう。目指すゴールや方向性がないまま闇雲に走り出しても無駄ではないかも知れませんが、モチベーションの持続は困難です。
自分の理想像を考えようとしても、どうしてもイメージが湧かない場合は、まずは、自分の「好き」「嫌い」で考えてみるところから始めてみて下さい。転職を視野に入れる場合は、給与や企業のネームバリューや、いまの安定性だけでなく、自分の未来像に合うかどうかについて考えることが重要です。
次に、「現在」にフォーカスします。今出来ていることと、出来ていないことを洗い出し、自分が得意とする分野や特性について考えましょう。この際、自分が得意とすることや好きなことにばかり目が行きがちですが、自分が苦手とすることや好きでないことにも目を向けてください。
これらを総合的に分析することで、下記のようなことがわかります。
自分の理想とする生き方や働き方を実現するために必要な行動計画を立てます。その際には自分が得意とする分野やスキルを伸ばすのか、あるいは苦手を克服するのかといった方向性について考えることもおすすめです。そして、自己実現を果たすためにどのような場所に身を置くべきかについて考えることも大切です。
また、キャリア戦略は一度策定したら終わりではありません。定期的に見直し、目標達成に近づいているかどうかを確認しましょう。環境やライフステージの変化によって、自分の目標や理想が変化することはよくあることです。その都度計画を見直して修正するようにしてください。
ここでは、下記の3種類の無料で活用できる自己分析用のワークシートや資料を紹介します。キャリア戦略の設計に役立ててください。
ジョブ・カードとは厚生労働省が作成したワークシートで、「生涯を通じたキャリアプランニング」また「職業能力証明」の機能を担うツールとしてキャリアコンサルティングや就職・転職活動などさまざまな場面で活用されています。このワークシートに取り組むことで、過去を振り返りながら自分の強みや弱み、能力について気づくことができます。また、これまでの経験を踏まえたこれからのキャリアプランやその実現に向けてやるべきことが具体的にイメージできるようになるでしょう。
ジョブ・カード(厚生労働省)をダウンロードしたい人はこちらへ
自己分析ワークシートは、就職活動で自己分析をする際に活用することを主な目的として厚生労働省が作成しています。下記のように過去から未来までさまざまな内容について考えを巡らせて記入します。
大学生のための「キャリア教育プログラム集」ワークシートも厚生労働省が作成しているワークシートです。「大学生のため」となっていますが、内容は社会人でも活用できる部分が数多くあります。下記のリンクよりダウンロードできますが、257ページ分あり量が膨大であるため、参考資料として活用することがおすすめです。
「大学生のための『キャリア教育プログラム集』ワークシート」をダウンロードしたい人はこちらへ
キャリア戦略を成功させるためのコツは主に2つあり、下記の通りです。
「自身の業務範囲にとどまらず」という点がポイントです。現在はVUCAの時代と言われており、将来の予測が難しく、キャリアプランや戦略を変更しなくてはいけなくなることもあるでしょう。その際にキャリアチェンジする必要性が出てくる可能性もあります。幅広い知識やスキルを身につけておくとキャリアチェンジを実現させやすくなるでしょう。言い換えると、目標や理想とする生き方や働き方が変わっても、柔軟に計画を変更させやすくなるということです。
キャリアや能力開発に詳しい専門家に相談することで、自身では思いつかなかったアイデアに巡り会えるチャンスが生まれます。機会があれば、社内のキャリアコンサルタントや上司にどんどんキャリア戦略について相談しましょう。
この記事では「キャリア戦略」の重要性や、キャリア戦略の設計方法、そしてキャリア戦略の設計に役立つおすすめの自己分析用のワークシートの紹介をしました。キャリア戦略は多くの場合、計画にも実行にも時間がかかるため、できるだけ早い段階で計画を立てることをおすすめします。キャリア戦略を立てて、自分が理想とする働き方や生き方を見つけ、その実現に向けて実際に行動に移しましょう。
株式会社アイルキャリアは、お客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイドプログラムで”学び”を提供する研修会社です。官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた必要な”学び”を、新人から管理職まで幅広く提供し、組織の人材育成を支援しております。特徴としては、その研修で達成したい目標(行動変容)の先にある成果、パフォーマンス(行動変容の結果得らえるもの)までを意識してプログラムを作成することにあります。