【キャリアの棚卸しは効果絶大】
定義や目的、実際の手順まで詳しく解説します

「キャリアの棚卸し」とは、キャリアを考える際によく耳にする言葉です。一方で、具体的にどのような内容なのか、どのような手順で進めれば良いのか分からないという方もいるのではないでしょうか。そこで、本記事では、「キャリアの棚卸し」の具体的な手順に加え、その効果まで詳しく説明します。

キャリアの棚卸しについて

働き方の絵

労働市場や雇用環境の変化が激しい昨今、働く人ひとり一人が、自身の「キャリアビジョン」や「キャリアプラン」を考えることの重要性が高まってきました。キャリアビジョンやキャリアプランを考える際には、キャリアを棚卸しすることが必要です。
まずは、キャリアの棚卸しの定義やその目的、自己分析との違いについて理解しましょう。

キャリアの棚卸しとは

キャリアの棚卸しとは、これまでのキャリアを振り返って自分の経験や獲得したスキル、能力、そして自身の成長などを確認することをいいます。特別なプロジェクトの仕事内容や成果だけでなく、可能な限り普段の業務も含めて経験を洗い出すことがポイントです。
また、業務内容だけでなく、どのような姿勢で取り組んだのか、どのような結果をもたらしたのかといったことまで深掘りして書き出してみてください。自分自身の強みや課題、適性のある仕事、大切にしている価値観などが徐々に浮き彫りになっていきます。

キャリアの棚卸しの目的

キャリアの棚卸しをする目的は、おもに、以下2つのものがあります。

  • 自分の強みを知る
  • 今後、描きたいキャリアを見つける

これまでのキャリアを振り返ることにより、自分の強みをどう磨き、今後のキャリアでどう伸ばし、どのように活かしていけるかを考えることが大切です。

自己分析との違いは?

キャリアの棚卸しは、これまでの経験を振り返り「自分にできることは何か」、あるいは「自分は、どんなことにやりがいを感じるのか」などを整理することにあります。それに対して、自己分析は、キャリアの棚卸しを通じて得られた内容をもとに、自分の強みや、やりたいことなどを明らかにしていくものとなります。つまり、キャリアの棚卸しは、自己分析の前段階に行うことで、自己分析をするには、あらかじめキャリアの棚卸しをしっかりと行っておくことが必要なのです。

キャリアの棚卸しは転職しないなら不要?

デメリット

「キャリアの棚卸し」は、就職、転職活動時に行うものというイメージを持たれている方もいるかも知れませんが、実はそうではありません。就職や転職活動時だけでなく、現在の仕事における自身の長期的なキャリアデザインやキャリアプランを設計する際にも役立つことなのです。そのため、働く人全員が行うべきことであると言えるでしょう。

キャリアの棚卸しのメリット

メリット

キャリアの棚卸しをすることのメリットには、以下のようなものがあります。

自身の強みが分かる

これまで経験してきた仕事内容について、イベント的なものから日常的に行ってきたものまでを可能な限り振り返ることで、どのような仕事で成果を挙げられたのか、どのような仕事を円滑に進められたかなどが理解できます。そこから自身の強みが言語化できるようになり、今後、その強みを伸ばしたり活かしたりする道筋が立てやすくなります。

今後のキャリアプランを立てやすくなる

自身の強みを理解できれば、社内でより自分が大きく貢献できる仕事はどのようなものなのかを考えられるようになります。強みを活かした仕事を行った結果、成果を上げることに繋がれば、社内での評価もさらに高まり、望んだキャリアパスが手に入るチャンスが広がります。そういった意味からすれば、今後のキャリアプランを立てる際にもキャリアの棚卸しは役に立つと言えるでしょう。

自信を持って仕事に打ち込めるようになる

日々なんとなく仕事に取り組んでいたとしても、自分の強みを知ることで、自分の支えや拠り所を感じ、自信を持って仕事に打ち込めるようになります。結果、仕事の質、成果にもポジティブな影響を与え、それがまた、自信に繋がるという好循環を生み出すことに繋がります。

キャリアの棚卸しの手順

STEP

キャリアが3年未満で、まだ社会人経験が少ない方は、下記のステップを踏んでキャリアの棚卸しをしてみましょう。

キャリアが3年未満の方

キャリアが3年未満で、まだ社会人経験が少ない方は、下記のステップを踏んでキャリアの棚卸しをしてみましょう。

STEP1:「自分は今、仕事で何ができるか?」を考える
まずは、これまで自分が行ってきた業務内容を洗い出しましょう。その際、業務の大枠だけでなく、出来るだけ仕事の細部まで洗い出すことがポイントです。経験やキャリアが浅くても、日々の仕事への取り組み姿勢や成果などから、身についたスキルや知識、強みが探れるからです。たとえば、事務仕事などを担当していて、数字など目に見える形で成果がつかめない場合でも、「顧客や上司、先輩などから作成した資料が分かりやすい」と褒められた経験も強みの根拠となり得ます。他にも、営業担当者のサポート業務をしていて、営業担当者が成績を上げることができた場合などは、何らかの形で貢献している可能性が考えられます。このように、3年未満の短いキャリアの方でも、やり方によって十分強みを書き出せます。

STEP2:出てきたスキル・知識に対して、「好きか・嫌いか」を考える
STEP1のプロセスで明らかになってきたスキルや知識を「やりがいを感じたこと」「やりがいを感じられなかったこと」、あるいは「好きなこと」「嫌いなこと」に分けてみましょう。

STEP3:「その先の未来に何があるのか」を探究する
STEP2までの内容を踏まえて、これから先の未来にどのようなビジョンを描けるのか探究していきます。たとえば、営業職で顧客が購入した商品・サービスの価値を喜ぶ声を耳にすることにやりがいを感じる場合、将来的には、営業職を統括する管理職を目指すより、商品やサービスの企画、開発に携わることを視野に入れるといったイメージです。

キャリアが3年以上の方

次に、キャリアが3年以上で、社会人経験をある程度積んだ方は、下記ステップを踏んでキャリアの棚卸しを行ってみましょう。

STEP1:「今の仕事について1日の業務を書き出す」
社会人になってから今日まで行ってきた仕事や業務内容を、時系列を追ってまとめてみましょう。イメージとしては、自分史の年表を作成するような感じです。
はじめは、なかなか思い出せず書き出せないこともあるかと思いますが、やっているうちに「こんな仕事も経験した」「あんな業務にも携わった…」など色々と思い出せるようになるでしょう。そのようなプロセスの中で、感情と紐づいた記憶が蘇り、自分では気づかなかった強みや長所が見えてくることもあります。

STEP2:「仕事の実績や工夫したことを書き出す」
STEP1で作成した自分史に、下記の内容を追記しましょう。

仕事内容/役割
その業務を通じて身につけたことや学んだこと
その業務に取り組む際に心がけたことや工夫したこと
その業務によってもたらされた実績や業績
その業務で苦労したことや失敗したこと、そしてどう乗り越えたのか
失敗した場合は、なぜ失敗したのか、その失敗から学んだこと など

STEP3:「新卒で就職した時まで遡って繰り返す」
上記STEP1とSTEP2のサイクルを新卒で入社した時まで遡って繰り返します。この際、新入社員の頃に感じていた気持ちや、夢や目標とといったことも振り返ってみてください。何かヒントになることが見つかる可能性があります。

STEP4:「書き出した項目を一覧にまとめる」
次に、STEP1からSTEP3をExcelなどを使って一覧表にまとめましょう。一般的なキャリアの棚卸のフォーマットでも良いですし、たとえば、横軸に「洗い出した項目」、縦軸に「時系列」といった感じで整理するのでも良いでしょう。ポイントは、過去と現在を見比べることができるような構図であることです。

STEP5:「特徴的な強みとそれを証明するエピソードをピックアップする」
STEP4のキャリアの棚卸し表を完成させたら、全体を俯瞰して自分の強みは何であるのかを考えます。そして、自分の強みが見えてきたら、その強みを裏付けるエピソードをピックアップしてください。これは、強みを腹落ちさせるための重要な根拠になります。とはいえ、一人で行っても難しいこともありますので、その場合は、誰か信頼できる人に聞いてもらってフィードバックをもらうと良いでしょう。
強みに加えて、自分の思考や行動パターンについて理解出来れば大成功です。

キャリアの棚卸しの注意点

注意事項

キャリアの棚卸しを行う際には、下記2点に注意するよう心がけましょう。

1. 結果・プロセス・感情をセットで書き出す

キャリアの棚卸しをする際には、業務内容やその結果を記入するだけでは不十分です。当時の気持ちやプロセスといった詳細まで踏み込んで記入しましょう。

2. 定期的に行う

キャリアの棚卸しは、一度行ったら終わりでなく、定期、不定期、繰り返し行うことでより深い自己理解をもたらします。なぜなら、世の中も社内での仕事や役割も、そしてライフステージもどんどん変化していくからです。
キャリアの棚卸しを何かの節目だけでも行うようになっていれば、自身の変化や成長を言語化することも容易となり、結果、自信やモチベーションの向上にもプラスとなります。

まとめ

この記事では、キャリアの棚卸しの具体的な手順と、その効果について詳しく解説しました。
繰り返しになりますが、キャリアの棚卸しは働く人すべてに必要なものと言えます。キャリアの棚卸しを通じて自己理解を深め、自分の活かし方が上手くなることで自信やモチベーションにもつながります。
転職や独立の予定がなくても、充実したキャリアを歩むために、ぜひキャリアの棚卸しを効果的に活用してみてください。

この記事の監修者

五十嵐康雄

代表取締役社長

五十嵐 康雄

株式会社アイルキャリアは、お客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイドプログラムで”学び”を提供する研修会社です。官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた必要な”学び”を、新人から管理職まで幅広く提供し、組織の人材育成を支援しております。特徴としては、その研修で達成したい目標(行動変容)の先にある成果、パフォーマンス(行動変容の結果得らえるもの)までを意識してプログラムを作成することにあります。 

代表取締役社長

五十嵐 康雄

株式会社アイルキャリアはお客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイド研修で”学び”を提供する研修会社です。

官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで業界業種・官民問わず様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた上で、必要な”学び”を新人から管理職まで幅広く人材育成を支援しております。

サイドメニュー

  • ★選ばれる理由●
  • 講師紹介
  • 事例一覧2
    • 川口鋳物工業協同組合様
    • 愛媛県研修所
    • 佐賀県自治研修所
    • 蕨市役所
    • IAC様
    • 静岡県湖西市役所
    • 佐倉市役所
    • 千葉市
    • 大分県自治人材育成センター
  • 事例一覧3
    • 下田市役所
    • 宮崎県市町村職員研修センター 
    • 鹿児島県
    • 江戸川区
    • 足利市
    • 宮崎県市町村
    • 伊勢崎市
    • 労働生産性の向上-1
      • タイムマネジメントとは?効果的な方法と実践手順を解説
      • 人的資本経営とは?企業・自治体が押さえるべき背景と人材育成の成功ポイント
      • 仕事の段取り研修にはタイムマネジメントが重要! 目的や階層別研修の内容を解説
      • 残業削減のための研修や方法を解説!働き方改革で求められる施策
      • ワークスタイル分析で生産性を高める 【すぐに使えるスキルから研修まで】
      • 「仕事の見える化」は業務の効率化に必須 【タスクを可視化する研修を紹介】
      • 仕事の優先順位づけとは? 業務を効率化するためポイント・研修を紹介
      • イレギュラー対応力を分析して生産性を上げる 【すぐ使えるスキルから研修まで】
      • チームパフォーマンス向上研修で変わる職場 【組織としての成長を目指して】
    • 労働生産性の向上-2
      • 正しい育成方法で新人・若手社員の早期育成を実現する 【研修で意識すること】
      • 仕事の効率化に結びつく具体的な方法を提案 【即効性のある研修も紹介】
      • 自律型人材とは?求められる背景やメリット・デメリット、育成方法を解説
      • オンボーディングは早期離職を解決するカギ!実施時のポイントや事例も紹介
      • 【新人の早期育成】 即戦力を育てるために取り組むべきことを解説します
      • 時間管理のスキルを向上して、業務効率や生産性を向上させる
      • 生産性を向上させるための秘訣とは 【組織レベルから個人まで対応】
      • 時間の使い方が上手になる方法は? 成果が上がる時間管理術を紹介
      • プレイングマネジャーの仕事術とは?役割や効率化のコツを解説
    • 労働生産性の向上-3
      • プレイングマネジャーの悩みを解決する時間管理術とは?
      • タレントマネジメントとは?導入手順やメリット・デメリットも紹介
      • テレワーク・在宅勤務導入後の労働時間管理におすすめの方法 3選
      • スピード仕事術を身に付けよう!仕事を効率化させるテクニック
      • タスク管理を上達させて仕事を効率化させよう! 役立つツールの紹介も
      • 企業におけるエンゲージメントの意味とは? 向上させる方法もあわせて解説
      • ハラスメントとは? 会社で重視すべき7つのハラスメントと防止策を解説
      • リスキリングとリカレントの違いとは? 導入するメリット・デメリットを解説
      • 社内コミュニケーションを活性化させる9つの施策を解説!他社の成功事例も紹介
    • 労働生産性の向上-4
      • Z世代の特徴や欠点に合わせた効果的な育成方法とは?NGな叱り方も紹介
      • VUCAとは?今の時代に適した人材を育成する方法をわかりやすく解説
      • 厚生労働省も推進するキャリア自律とは?定義やデメリット・メリットを紹介
      • 人事担当者必見!戦略人事の成功事例8選&成果を出す実行ステップ
      • 【タイムマネジメント研修とは】 実施する理由や効果まで包括的に解説いたします
      • すぐ職場で活用できる!タイパ(タイムパフォーマンス)向上研修
      • 複製用
    • 働き方-1
      • 「生きがいを支える5つの大切なこと」
      • 人生の満足度を高める方法
      • 【キャリアデザイン研修とは】 専門家に委託すべき理由とメリット・内容を解説
      • 【キャリアデザインとは】 方法論と企業視点でのメリット・デメリットもご紹介
      • 【キャリアの定義とは?】 従業員のキャリア開発が必要な理由を解説
      • 【キャリアデザインシートとは?】 必要な要素や書き方の失敗例を解説
      • 【キャリアデザインの意味や必要性は?】 具体的な設計方法や企業事例を紹介
      • どんなキャリアを積みたいかわからない人への、 キャリアプラン作りの基礎解説
      • キャリア戦略の重要性 | 人生設計や転職時に役立つワークシートを紹介
    • 働き方-2
      • キャリアデザインシートの書き方例 | 構成の方法やコツを解説
      • キャリアゴールとは何か? ゴール設定の必要性や具体的な設定手法、事例を紹介
      • ビジョン達成に必要な考え方やビジョン策定に必要な手順、 企業事例を解説
      • キャリアプランニングとは何か? メリットや重要性、実施方法まで詳しく解説
      • ビジネスにおいて目標設定が必要な理由とは? 目標設定の具体例やフレームワーク、職種別の例文を解説
      • キャリアアセスメントとは? メリット・デメリットや活用できるツールを紹介
      • キャリアチェンジのメリットとデメリット | 何歳で検討するのがおすすめ?
      • 【キャリアの棚卸しは効果絶大】 定義や目的、実際の手順まで詳しく解説します
      • 今注目の「働き方改革」とは?具体的な取り組みと課題
    • 働き方-3
      • ワークライフバランスの見直しや実施が 企業と社員にとって必要な理由
      • 仕事と家庭の両立法 | 無理なくこなすためのコツ
    • 研修理論-1
      • テクノロジーと人間力を融合した学びの未来
      • オンライン研修とは?メリット・デメリット、始め方について徹底解説
      • 「カークパトリックモデルの4段階評価」
      • 「サクセス・ケース・メソッド」
      • 「High Impact Learningモデル」
      • 「ラーニングピラミッド」
      • 「プランド・ハプンスタンス・セオリ(ハプンスタンス・ラーニング・セオリ―)」
      • 「エキスパート(専門家)になるには」
      • 「パーソナライズされた学習は、誤った仮説に基いている」
      • 「知識の保持や適用には望ましい困難が必要」
    • 研修理論-2
      • 「学習の5段階」
      • 「研修のゴールは行動変容ではない!?」
  • ニュース一覧
    • 調達企業一覧(補足資料)
  • 監修者
    • 資料請求ありがとうございました
  • 求人情報
  • ピックアップ!
  • 人材育成に関するコラム
  • お客様の声(2022年度)
  • お客様の声(2021年度)
  • お客様の声(2020年度)
  • 書籍購入
    • 特典動画のお申し込み確認
  • ダイレクトメール
  • メディア掲載・その他
  • 個人情報保護方針
  • 無料個別相談会(オンライン)
    • 無料個別相談会のお申し込み確認
  • ヒアリング日程について
    • ヒアリングお申し込み確認
  • メールマガジン登録
  • 研修一覧