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【キャリアデザインの意味や必要性は?
具体的な設計方法や企業事例を紹介

キャリアデザインとは、自身の強みやスキルなどを踏まえて職業人生を計画するプロセスです。
この記事では、「どのように自分のキャリアをデザインすれば良いか、分からない」という方にも参考になるように、自己分析から目標設定、行動計画立案に至るまでの具体的な方法を紹介します。

キャリアデザインとは職業人生の主体的設計と実現を指すこと

CAREER

働く私たちを取り巻く環境の変化が目まぐるしい昨今の「キャリアデザイン」は、会社や上司によって決められるものではなく、自らが主体となって、自らの将来の理想の姿と自己実現を追求するための計画を具現化していくプロセスを指します。ポイントは、組織主導でなく、個人主導でキャリアについて考える点にあります。

キャリアプラン・キャリアパス・キャリア形成との違い

比較

キャリアデザイン以外にも、「キャリア」に関する用語は多数あります。
特に下記の3つはキャリアデザインと混同しやすいため、それぞれの意味の違いを知って正しく使うことが大切です。

  • キャリア形成
  • キャリアプラン
  • キャリアパス

「キャリア形成」とは、仕事を通じた職業能力を取得するための行動のことを指します。
次に「キャリアプラン」とは将来の経歴を戦略的に計画するプロセスのことをいいます。言い換えると、キャリア形成に必要な具体的な行動計画のこ
とを指します。
「キャリアパス」とは、組織内におけるキャリアの積み方や手順を示したものです。自分が目指す役職に就いたり、やりたい仕事をしたりするために必要なスキルや経験を知り、どのような順番で習得していくのか各企業で分かりやすく明示されていることが一般的です。

キャリアデザインが必要な3つの理由

WHY

いまの時代に、キャリアデザインが必要とされている理由について紹介します。

社会や時代の変化

VUCAの時代に突入し、将来の保証や未来の予測が難しくなっています。VUCAとは、英語でそれぞれ、”Volatility(不安定)”・”Uncertainty(不確実)”・”Complexity(複雑)”・”Ambiguity(曖昧)”の単語の頭文字を取ったものをいいます。
また、「人生100年時代」の到来とも言われており、個人だけでなく、国や組織レベルにおいてもライフプラン見直しの必要性に迫られています。このような社会や時代の目まぐるしい変化によって、キャリアデザインの重要性が高まっています。

企業を取り巻く変化

日本では当たり前だった終身雇用制度や年功序列制度が崩壊しつつある今、多くの企業が成果主義を導入し、即戦力となる中途人材の採用活動に力を入れています。また、それと同時に労働人口減少による人材の確保が多くの企業で課題になっており、従業員のモチベーションやエンゲージメントを向上させることで定着率の向上を図ろうとする企業も増えています。
これまでは企業が仕事内容やキャリアアップの進め方を主導してくれていたため、多くの従業員が容易に一定のキャリアアップをすることができました。しかし、企業を取り巻く環境も大きく変化し、組織主導でそれらを進めることが困難になってきたため、従業員個々人が自らキャリアをデザインする必要性が高まっているのです。

求める人材の価値観の変化

前項にある背景から、現在は、企業にキャリアアップを委ねず、自ら考え主体的に行動できる「自立型人材」が求められています。
また、新型コロナウイルスや働き方改革などの影響で、リモートワークや時短勤務など働き方の多様化や働く人の価値観も多様化しているため、それに伴って求める人材に対する価値観も変わってきています。

キャリアデザインをおこなう4つの目的

目的

ここでは、キャリアデザインを行う目的を4つピックアップして解説いたします。

自分らしく働くための軸を見つけ、自己実現を目指す

繰り返しになりますが、キャリアデザインは、自己理解を深め、自らが理想とする姿や働き方に合わせてキャリアを考えていくプロセスをいいます。決して、「会社」という枠組みだけでキャリアを考えるものではありません。企業や社会の変化が目まぐるしい時代においては、自らのキャリアをコントロールすることは困難なことだからです。このような時代において大切なことは、ある程度理想とする自分や働き方に対する「軸」を持っておくことです。それにより、予測不能な事態になっても必要以上に動じることなく、自己実現に向けて前向きに仕事ができるようになることが期待できるからです。

自分のありたい姿に至るための道筋を明確にする

キャリアデザインのメリットは、自分の目標や夢が明確になり、それを実現するためにやるべきことやステップも自ずと見えてくることにあります。日々の業務が自分の夢や目標に繋がっていることが実感できるようになるため、これまで以上に意欲的に仕事に取り組み、モチベーションも上がることが期待されます。

社員の人材価値を高める

前項でお伝えしたとおり、キャリアデザインが描けている社員は、日々の仕事に意欲的に取り組めるようになります。そして、一般的に、そのような社員の生産性は高まることが多く、高い成果を上げることにも繋がります。結果として、企業にとっても、人材価値の高い存在を育てることにつながります。

多様性のある人材確保につなげる

キャリアデザインを実施した従業員が「この会社では自分が理想とする姿や目標を実現できない」と判断した場合、会社を去るというリスクもあります。しかし、それは現在の働き方について見つめ直す機会を提供したと言えるでしょう。その従業員が自社を去ってしまっても、アルムナイのような繫がりをもつことができれば、外部からみた自社についての理解が深まり、結果として、新規事業の創出など新しい価値が生まれる可能性もあります。

キャリアの構成要素は3つに分解できる

component

キャリアの構成要素は下記の3つに分解できます。

  • 知識・技能
  • 行動(思考)特性
  • マインド・価値観

知識・技能は業務を遂行するために必要な能力的な資源や資産のことを指します。
行動(思考)特性は物事の対処の傾向や考え方の癖のことをいいます。
マインド・価値観は仕事やキャリアに対する意識や価値観、動機のことを表します。
キャリアデザインを描く際には、この3つの要素をさまざまな視点から洗い出し、将来の目標やキャリアステップを明らかにすることが大切です。

企業がキャリアデザインの設計を支援するメリット・デメリット

メリット・デメリット

つづいて、企業がキャリアデザインの設計を支援するメリットとデメリットについて解説します。

メリット

自身のキャリアへの主体的行動を促す
自らのキャリアを考えながら現在の仕事に意味づけをおこなうことで、それぞれの従業員は主体的に業務に取り組めるようになるでしょう。従業員の主体的な行動を促せれば、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上が期待できます。

離職防止と社内への定着につながる
現在、入社3年以内に3人に1人が退職する時代であると言われています。企業が従業員のキャリアデザインを支援し、具体的なキャリアパスを提示できれば、従業員は自分がやるべきことを理解した上で業務に取り組むことができます。また、キャリア面談やキャリアコンサルタントの配置によって、理想と現実のギャップを早期発見・対処する環境を整備しておくことで、ある日突然、退職を願い出る「びっくり退職」を防止することにもつながるでしょう。

デメリット

希望の仕事がない場合、離職のきっかけとなる
キャリアデザインを支援することで、従業員が、自社では自分の夢や目標を叶えられそうにないと感じる場合もあります。その場合は、その社員が離職する恐れもあるでしょう。従業員が一人で悩んで一人で答えを出して離職する前に、やりたい仕事が、本当に今の会社でできないのか人事担当者や社内外のキャリアコンサルタントに相談できる環境と雰囲気づくりをいかにつくれるかが重要となります。

キャリアデザインの3つの設計方法

STEP

次に、キャリアデザイン3つの設計方法について説明します。

現状の自分を把握する

まずは、現状について把握します。自分が保有する資格やスキル、これまでの業務経験などを洗い出しましょう。この際に、好きなことや得意なことに目が行きがちですが、苦手と感じることや好きでないことも挙げることを心がけてください。得手不得手の分析を通じて、下記のようなことが分かるからです。

  • 自分の適性
  • 理想とする生き方や働き方
  • 重要視している価値観
  • 譲れない条件
将来やりたい仕事や、なりたい姿をイメージする

次に、自らが興味関心のあることや、得意なことを活かして将来やってみたい仕事を挙げます。「こうなりたい」や「こんなポジションを目指したい」といった願望であっても構いません。この時、具体的な仕事内容や、やりたいことが思い浮かばない場合は、まずは、理想とする暮らしや生き方を想像してみましょう。

現在と将来の差を把握し、行動する

理想の自分と現状を照らし合わせると、自己実現するために解決すべき課題が見えてくるでしょう。今度は、その課題を解決するためのプランを考えます。たとえば、スキルが不足しているのであれば能力開発を、知識不足であるならば学習計画を、そして経験が足りないのであれば経験を積む機会を生み出すために何をすべきか考えるといった具合です。

企業ができるキャリアデザインに関する支援施策

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次に、企業ができるキャリアデザインに関する支援施策の例を紹介します。主に、以下5つの施策がおすすめです。

キャリアデザイン研修

キャリアデザイン研修は多くの企業が導入している施策です。現在は、新卒や若手社員から中堅、定年延長に伴うセカンドキャリアに至るまで幅広く導入されています。対面研修を行う場合には、その価値の1つとして、従業員同士で互いにフィードバックをする機会を多く設けましょう。他の従業員からの意見を通じて、気づきが深まったり、新たな視点を獲得し、さらに自己理解が深まることにつながるからです。
また、一度きりではなく、定期、不定期、開催して自身のキャリアデザインを振り返る機会を設けることもおすすめします。

■キャリアデザイン研修についての詳しい解説はこちら

■アイル・キャリアが提供する「キャリアデザイン研修」はこちら

企業内キャリアコンサルタントの活用

企業内にキャリアコンサルタントを配置して、従業員がいつでも自身のキャリアデザインについて相談できる環境を作り出しましょう。社内のリソースが十分でない場合などは、外部のキャリアコンサルタントに相談できるように環境を整備することも良いです。大切なことは、従業員がキャリアについて相談したいことがあった際、誰かのサポートがもらえるような体制を整えておくことにあります。

キャリア面談

キャリア面談とは、上司や人事担当者などとキャリアの方向性を共有して、社員自身に気づきを促す面談のことをいいます。キャリア面談を実施する企業は数多くありますが、実は、効果的に活用できていない企業は少なくありません。キャリア面談を成功させるためには、面談前に対象の従業員にキャリアデザインシートを記入させてから、そのシートをもとに目的と目標を明確にさせることがはじめの一歩となります。

目標管理制度

「目標管理」と聞くと、数値目標を思い浮かべる人も多いでしょう。確かに目標数値も大切ではありますが、キャリアデザインにおける「目標」は少し異なります。この場合は、上司が部下のキャリアパス実現のために、現在のポジションでどのような目標をクリアすべきかと問いかけ、部下に考えさせることです。キャリアパスと整合性が取れている目標の設定によって、部下の仕事に対するモチベーションやエンゲージメントの向上が期待できるでしょう。

キャリアの選択肢を広げる人事制度

キャリアの選択肢を広げる人事制度は数多くあり、下記がその一例です。

人事制度 内容
自己申告制度 従業員自身が異動や転勤の希望を申請できる制度
社内公募制度 企業が求めているポストや職種の要件についてあらかじめ従業員に公開し、応募者の中から適切な人材を登用する制度
社内FA(フリーエージェント)制度 従業員自らが自分のキャリアやスキルをアピールして、希望する職種や職務に応募できる制度
社内インターンシップ制度 希望する他部門の職務を期間限定で経験することができる制度
ジョブリターン制度 キャリアアップや自己実現、やむを得ない理由で退職した社員を再雇用する制度。採用や教育にかかるコストを抑えられるとともに、異なったフィールドで経験を積んで成長した優秀な人材の復活・復帰を促せる制度。

 

企業のキャリアデザイン支援の企業事例

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最後に、3つの企業で実際に行われたキャリアデザイン支援の事例を紹介します。それら3社のキャリアデザイン支援制度や施策は、厚生労働省のキャリア支援企業表彰2015に選出されました。ぜひ自社でも実践・導入できないか検討してみてください。

東京海上日動火災保険株式会社

東京海上日動火災保険株式会社は主に下記の4つの施策を実施しました。
 

  • 社員の人材育成を第一の目的にした「育成型人事考課制度」の導入
  • 社員のコンピテンシーを客観的に観察・分析して、OJTや適正に合った職場への配属などを通じて、人材育成につなげていく施策の実施
  • 原則、年に4回(4・10・3・6月)、直属の上司と面談する「役割チャレンジ制度」を通じて、組織における従業員の期待される役割や仕事の目標・課題、コンピテンシーの向上、今後のキャリアの展望などについて話し合う機会の提供
  • 従業員自らがキャリアビジョン実現のためにチャレンジしてみたい職種に応募できる「JOBリクエスト制度」の導入
三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行では、求める人物像の1つに「1人ひとりが将来の『金融のプロとしての自分』を思い描き、その姿に向かって『成長』と『挑戦』を続けられる人」とあります。これに則ったキャリア支援施策を実施しており、具体的には下記の4つの制度があります。

キャリア支援施策 内容
Job Challenge 従業員に自らやりたいポストや職種を掴み取る機会が提供される制度
Position Maker 日々の業務の中で感じる「こうしたらいいのに」「こうだったらいいのに」といったアイディアを自由に提案して、提案内容の実現に向けた「プロジェクトリーダー」としてビジネス変革・業務改善に向けた職務を自分で作り出すことができる制度
オープンEX 取引先企業などへの業務出向を通じて、行内の人事異動では得られない経験を積める制度
Challenge Leave 起業や留学など、従業員が自らの成長につながる活動に挑戦するために最長で3年間休職することが認められる制度

 

株式会社リコー

株式会社リコーでは、さまざまな研修、多角的な人事評価制度、充実したキャリア支援制度を通じて、従業員1人ひとりの仕事自律・キャリア自律、変化に強い個人と組織や多様性を活かす企業風土の醸成を推し進めてきました。
主に、下記のような取り組みを行っています。

  • 目標管理型の人事評価制度の導入
  • 国家資格を持つキャリアコンサルタントとの社内キャリアカウンセリングを受けられる機会の提供
  • 年代別ではなく、各従業員の課題や目的ごとに実施されるキャリアデザイン研修の実施
  • 人材を探している部門に自らの意思で応募して異動を実現するための「社内公募制度」の導入
  • 従業員が勤務時間の一部を使ってやってみたい仕事・テーマ・活動などへ本業と並行させながらチャレンジできる「社内副業制度」の導入

まとめ

この記事では、キャリアデザインの定義、キャリアデザインが必要とされている理由、キャリアデザインを行う目的や設計方法、そして優れたキャリアデザイン支援施策を行なった企業の事例などについて詳しく解説しました。
キャリアデザインとは、自社内だけに止まるものではありません。広い視野で捉えることが大切です。近年、ビジネス環境が激変している中で、キャリアデザインは多くの社員にとって必要不可欠なものとなっています。企業としても労働人口が不足している中での人材の確保や人材力の強化につながるため、双方にメリットがあるといえます。

この記事の監修者

代表取締役社長

五十嵐 康雄

株式会社アイルキャリアは、お客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイドプログラムで”学び”を提供する研修会社です。官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた必要な”学び”を、新人から管理職まで幅広く提供し、組織の人材育成を支援しております。特徴としては、その研修で達成したい目標(行動変容)の先にある成果、パフォーマンス(行動変容の結果得らえるもの)までを意識してプログラムを作成することにあります。 

代表取締役社長

五十嵐 康雄

株式会社アイルキャリアはお客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイド研修で”学び”を提供する研修会社です。

官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで業界業種・官民問わず様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた上で、必要な”学び”を新人から管理職まで幅広く人材育成を支援しております。