VUCAの時代。この道一筋というキャリアは描きにくい世の中になってきました。そこで、これまでとは異なるキャリア、新たなキャリアを積みたいと考える人も増えています。キャリアチェンジには、無限の可能性があるものの、そこにはデメリットも存在します。また、いつどのように行動すべきかも重要です。年齢によっても対処すべきポイントも異なるため、実際に行動する前に、あらかじめキャリアチェンジの知識をある程度保有し、備えておくことが必要です。本記事では、キャリアチェンジの魅力や注意点など詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
一般的に、キャリアチェンジとは、未経験の業界や職種へ転職することをいいます。業界や職種のどちらか一方を変える場合も含まれます。「キャリアアップ」とは意味が異なるので注意しましょう。キャリアアップとは、既存の経験を活かして高いポジションを目指す転職や昇格を目指すことです。それに対してキャリアチェンジは、未経験領域への新たな挑戦を意味するため、意味が異なります。
「現在の仕事が自分に合っていない」
「自分の強みやスキルが十分に発揮されていない」
このような悩みを抱えている場合は、キャリアチェンジを検討することも選択肢の一つとなるでしょう。やみくもなキャリアチェンジはおすすめしませんが、キャリアチェンジによってあらたな可能性を発見することや本当に合った仕事が見つかるかもしれません。
キャリアチェンジのメリットはおもに3つあります。
インターンシップの経験もなく、新卒で就職する場合、実際の就業経験がないため憧れやイメージだけで仕事を選んでしまいがちです。その結果、実際に就職してみると「こんなはずではなかった」「イメージとは違った」とミスマッチが生じることも多々あります。
しかし、ある程度社会人経験を積んでいくと、自分が理想とする生き方や働き方、それにふさわしいと思える環境や仕事がより具体的に見えてきます。自分の理想や希望に沿って職探しをすることになるため、やりたいことや興味のある業種、職種に身を置けたり、希望するポジションに就けたりする可能性もあります。
職種や業種が変わると、必要なスキルや知識も変わります。キャリアチェンジによって、今の仕事では得られない新しいスキルや知識を身につける必要が出てくることで、キャリアの選択肢がさらに広がるはずです。
また、これからは、日本でも多くの組織で欧米のように実力主義になることが予測されるため、専門性を高めるとともに、さまざまなスキルや知識を持っておくことは、キャリアの選択肢を広げて自身の市場価値を高めることにもつながるでしょう。
同じ業界・職種で長く働いていると、新鮮味が感じられなくなり、マンネリ化してしまう可能性も一部考えられます。キャリアチェンジには、新しい世界を知ってフレッシュな気持ちで仕事に取り組めるようになるメリットもあります。
前項でも紹介しましたが、キャリアチェンジを通じて、自分の理想や希望に沿った仕事や働き方が実現する可能性もあります。仕事に対するモチベーションも高まり、新しい職場での学びや経験を困難に感じることなく前向きに取り組めることもあるでしょう。
前章では、キャリアチェンジのメリットについて解説しましたが、キャリアチェンジには、デメリットもあります。
キャリアチェンジの場合、未経験の業種・職種に転職することから、前職で身につけた経験やスキルが評価されず、「未経験者」として採用される可能性が多々あります。つまり、転職によって年収が下がる可能性があるということです。実際に、2021年に厚生労働省が発表した「雇用動向調査」によると、転職者の35.2%が前職よりも給与が減少したと回答しています。
しかし、転職先で新たなスキルや経験を身につけることで年収のアップも狙えます。年収が下がるのは一時的なものであると捉え、長い目で、かつ前向きに捉えることも大切です。
従業員の平均年齢が20代後半〜30代前半と若い人が多い業界や職種もあります。このような業種・職種では20代がチーフやリーダーを務めたり、30代前半で管理職を務めたりするケースが多いものです。つまり、このような企業に中途入社で転職すると、上司が年下というケースがでてきます。この点を理解した上で入社しないと、他の従業員と上手くコミュニケーションが取れなかったり、モチベーションを維持できなかったりということが起こりうるため、あらかじめ注意してください。
これまでの環境と比較せず、謙虚な気持ちを持って入社することが大切です。
キャリアチェンジに限らず、転職すれば新しい仕事内容を覚えなくてはなりません。また、同僚や取引先とゼロから人間関係を構築する必要もあります。一般的に、前職での仕事経験が長い人ほど、新しい環境や仕事に馴染むのに時間がかかり苦労する傾向があります。同じ職場にいる年下の同僚よりも、スキルや知識が不足していることに不安を感じることさえあるでしょう。
新しい環境に身を投じれば、誰でもはじめは慣れるのが大変なものです。無理はしない程度に、少しずつギャップを埋める努力をしてください。しっかり、やるべきことをやっていれば、おのずと結果はついてくるものです。
転職には「キャリアアップ」と「キャリアチェンジ」がありますが、キャリアチェンジの場合は、25〜29歳がベストタイミングであると言われています。それは、採用側が20代は新しい仕事や知識を身につけるための吸収力があり、長く働いてもらえる可能性が高いと考えているからです。
しかし、近年では業界や職種によっては経験値の高い人を求めている企業も増えているため、30〜40代以上であっても十分にチャンスはあります。30〜40代でキャリアチェンジを検討する場合は、「これまでの経験をどう活かせるか」を考えながら仕事探しをすることがおすすめです。
ここでは、20代・30代・40代と年代別にキャリアチェンジする際に気をつけるべきポイントについて解説します。
「若さ」は、転職市場では大きな武器になります。特に、20代半ばまでは、現時点で高いスキルや能力がなくても、成長するポテンシャルがあると企業が見込めば、キャリアチェンジを伴った転職活動は上手くいく可能性が高いものです。面接試験では「なぜ転職したいのか?」や「なぜこの業界や企業に応募したのか?」といった志望動機を深掘りした質問を聞かれることが多いでしょう。矛盾なく、筋の通った志望動機をしっかりと準備しましょう。
また、20代後半の場合は、ポテンシャルだけでなく、その業界や職種と合うかどうかも重視される傾向があります。そのため、これまでに積み上げたキャリアが新しい業界・職種へ成長するためのステップであることが伝わるような志望動機を準備しておくことが大切です。
30代半ばを過ぎた転職は難しいとされていた時代もありました。しかし、現在は30代、特に、30〜34歳の人材は20代で身につけたスキルや経験を活かせる即戦力として捉えられる傾向が強くなっており、、転職市場におけるニーズは高くなっています。
そのため、30代も比較的キャリアチェンジしやすい年代であると言えます。しかし、20代とは異なりポテンシャルではなく、それなりに専門性や高いスキルが求められる点に注意が必要です。キャリアチェンジを伴う転職の場合は、未経験の業種・職種であっても現職で身につけた専門性やスキルを発揮できる業界や職種を選ぶようにしましょう。いずれにしても、事前のリサーチが重要であることは言うまでもありません。
40代からのキャリアチェンジは、ハードルが上がります。40代の転職活動で重視されるポイントは、おもに下記3つのものがあります。
管理職の採用でなくても「マネジメント能力」は重視されます。企業は、応募者が会社あるいは組織全体の視野を持っているかどうかを知りたいからです。マネジメント能力は身につけるのに時間がかかります。そのため、たとえ管理職の求人でなくても「マネジメント能力」があることをアピールしながら転職活動することをおすすめします。
また、一般的には、40代以降の他業種からのキャリアチェンジはリスクが高いため、同じ業界内でキャリアチェンジした方がスムーズに転職活動を進められるでしょう。
次に、キャリアチェンジに失敗しやすい人の特徴について見ていきましょう。
キャリアチェンジは「やってみたい」という想いだけでは上手くいきません。キャリアチェンジに限らず就職・転職活動を成功させるためには、あらかじめ「自己分析」をしっかりと行うことが必要になります。
自己分析とは、自分の性格や長所と短所、価値観など自分の軸を明確にすることです。自己分析することで、自分の好きなことや強みを活かせる仕事選びが可能になりますし、入社後のミスマッチも防いでくれます。
また、自己分析する際には、自分の長所・短所、あるいは得手・不得手について家族、同僚、上司など第三者の目線で判断してもらうことも大切です。より客観的で精度の高い自己分析が可能になるからです。
キャリアプランが明確に定まっていないと、転職やキャリアチェンジだけが目的になってしまい、転職先でのキャリアアップができなかったり、急いで転職することによってミスマッチをおこしてしまったりと、キャリアチェンジが失敗に終わる可能性があります。
キャリアチェンジを伴う転職活動をする際には、まずは、中長期的なキャリアプランを練ってから行動に移すことがポイントです。
最後に、キャリアチェンジを成功させるコツについて解説します。
キャリアチェンジは「未経験分野」への転職ということになりますが、自分自身の強みや現職で身につけたスキルや経験を活かせる仕事を選ぶことで成功させやすくなります。たとえば、飲食業界のホールスタッフ経験からコミュニケーション能力に長けている場合、高いコミュニケーション能力が求められる営業職であれば、比較的スムーズに転職できることもあります。
未経験の分野であっても、自分が持っているスキルや経験を転職先でどのように活かすことができるのか、会社にどう貢献できるのかについて言語化して、面接でアピールできるように棚卸ししておくことが大切です。
希望する業界や企業があるのであれば、詳しく調べましょう。業界研究や企業研究をすることは、下記2つのメリットをもたらします。
キャリアチェンジの面接では、業界の知識についてよく聞かれ、深掘りされることが予想されます。業界研究や企業研究によって得た知識によって面接時の受け答えが明確になり、志望理由の説得力も増すでしょう。
また、業界研究や企業研究をすることでイメージや偏見だけで転職活動を進めてしまうことを防げます。結果的に、入社後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。
この記事では、キャリアチェンジのメリット・デメリット、年代別のキャリアチェンジで注意すべきポイント、キャリアチェンジを成功させるためにやるべきことなどについて解説しました。
実際に、転職活動を始める時は、この記事で紹介したような年代別の注意点や失敗しないコツなど、キャリアチェンジに関する情報収集をしっかりと行うことが成功のカギとなります。ある程度情報収集ができたら、将来の自分像や理想のライフスタイルなどを考慮しながら早めに行動しましょう。
株式会社アイルキャリアは、お客様ごとに抱える課題や目標に合わせたオーダーメイドプログラムで”学び”を提供する研修会社です。官公庁・自治体から上場企業、医療法人や学校法人まで様々なお客様に対して、ご要望と時流をふまえた必要な”学び”を、新人から管理職まで幅広く提供し、組織の人材育成を支援しております。特徴としては、その研修で達成したい目標(行動変容)の先にある成果、パフォーマンス(行動変容の結果得らえるもの)までを意識してプログラムを作成することにあります。